この住宅の敷地は、区画整理されどこにでもある単調な街並みとなってしまった郊外の住宅地。ここから少し海側に行くと、対照的に昔ながらの迷路のような街並みが残っています。奥行きの深い路地の風景には、歩いていると思いがけない刺激や発見があり、やはり魅力があります。とはいえ、ここで火事が起こったらと考えると、ある程度街並みを整理せざるを得ないことも理解できることです。この住宅では安全で見通しの良い新市街地の良さに旧市街地のもつ魅力を併せもつことはできないかと考えました。敷地奥まで引き込むボリュームは道行く人の視線を奥の方にまで誘い駐車場スペースと合わせて道路からの開放感を与えています。幸い、この考えを評価いただき、「街並み住宅100選」に選ばれました。この住宅にお住まいになる方は、家で仕事をする独身の女性でした。ワンパターンになりがちな日常に対し、2回の寝室から1階の仕事場までをリニアなボリュームとして時間的空間的に引き伸ばし、その間に様々な変化を持たせるように配慮しました。このリニアなボリュームをWORMと名付け、それを連続させることで、さらに街並みや家の中の生活に奥行きと変化を持たせることを考え、WORM HOUSE PROJECTと名付けた計画を構想しました。この計画は「SDレビュー2003」に入賞しました。
高砂M邸
建築地 | 兵庫県高砂市 |
主用途 | 住宅 |
構造 | 木造 |
規模 | 地上2F |
竣工年 | 2003年4月 |
備考 | 2004年度「まちなみ住宅」100選 住宅月間中央イベント実行委員会委員長賞 |
NEXT CONTENTS
WORMによる変化に富んだまちの暮らし
吹抜階段の迫力あるエントランス
スポーツの活気が街に溢れ出すスクリーン