敷地は郊外の住宅団地。開発が行われてから時間がたち、それぞれの家が2世代目に入ろうとしています。当初は無機的な感もあったであろう町並みは、時間をかけてやわらかさを生み出し、それは近隣との良好な人間関係にも現れています。陽の光を家の隅々にまで行き渡らせ、様々な刺激を家の中に取り込むために、大きなブロックをずらしたような構成をとりました。これによって、家の内部・外部に様々な異なったシーンが展開します。住宅の中には、いくつかの異なった時間単位が重層しています。日々の暮らしという一日ごとに毎日の必要に合わせて生活する住宅におけるパブリックな時間単位と、そこから離れたプライベートな生活時間です。この住宅においては、外部とも直接に交流のあるパブリックな生活時間を形成する場所を、白く素材感の無い材料でまとめ、プライベートな生活時間を形成する場所を、黒く素材感のある材料でまとめています。そしてまた、家族の長い記憶を形成するであろう30年、50年といった長い生活時間を形成するように、日々の生活時間を包容する大きな吹抜空間をつくりました。これらの3つの異なる生活時間を重層させることで、日々の暮らしを活性化させると同時に、日々の変化に対する包容力をこの住宅が持ちえるのではないかと考えました。
泉北K邸
建築地 | 大阪府堺市 |
主用途 | 住宅 |
構造 | 木造 |
規模 | 地上2F |
竣工年 | 2006年3月 |
備考 | なし |
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リニアなヴォリュームによる多様な変化
人とモノを柔らかく秩序付ける空白
可変な空間による地域の場