戦後に建てられた2階建ての文化住宅。当時としてはよりよい住環境を求める余裕はなかったのでしょう、まったくと言ってよいほどに光の入らない部屋でした。調査のために天井や床をめくってみると、継ぎ合わせた柱や梁。現在の基準から言えば決してほめられた状態ではないものの、建てた当時のことを想像してみると、戦後の資源の乏しい時期、必死に材料をかき集め、なんとかして人の暮らせる場所を確保したい。そんなひたむきな思いが逆に伝わってくるかのようにも思えます。
構造の弱点をいかに補強し、かつ明るい居住空間をつくるかがテーマのリニューアルです。まず、弱い部分もある柱と梁を構造用合板で固めます。この合板をそのまま仕上げ材としました。しかし光をいかに入れるかが問題です。わずかに入ってくる窓からの光をいかに一階まで届かせるか。そこで、ベランダに面して吹き抜けをつくることにしました。吹抜けをつくることで、明るさだけでなく、空間的な拡がりも1階に生まれました。
「第21回住まいのリフォームコンクール」で優秀賞をいただきました。
住吉K邸
建築地 | 大阪府大阪市住吉区 |
主用途 | 共同住宅(改修) |
構造 | 木造 |
規模 | 地上2F |
竣工年 | 2004年4月 |
備考 | 第21回住まいのリフォームコンテスト優秀賞 |
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住まいに心地よいリズムとスケールを生み出す光
人とものを柔らかく秩序付ける空白
遺物と自然
-自然とのフィルターとしての建築ー